漫画賞・持ち込み

2017年7月期

月例マグコミマンガ大賞 結果発表!!

第19回募集、奨励賞2作品、努力賞7作品、チャレンジ部門入選1作品選出!

今回も多数のご応募ありがとうございました。その中から選出された、栄えある受賞作品は…? (7月31日締切分)

完成原稿部門:奨励賞 賞金3万円

「ものぐさ作家とちいさな同居人」

「ものぐさ作家とちいさな同居人」

吉岡さぐる(22)

あらすじ

独身小説家 梢浩志(35歳)はスランプで苦しんでいる中、小学5年生とは思えないしっかりものの葉村凛子(11歳)と突然同居することになり…。

作品講評

キャラの生き生きとした表情や、何気無い仕草に作家のこだわりを感じ好印象。背景も細かいところまで描写されており現代舞台のリアリティーが表現できていた。一方で、物語にいまひとつ飛び抜けたものが欲しいと感じた。感動できるドラマを作っているもののまだ弱く、強く胸を打つまでにいたらない。それには二人のキャラがそれぞれ抱えている問題を結びつけ関係性をより強くしたうえで問題を解決して欲しかった。今後の活躍に期待する。

「九龍都市怪談」

「九龍都市怪談」

現世まお(29)

あらすじ

科学が発展し続け幾世紀。滅びの足音が聞こえる世界の中で、文明としての姿を保つ九龍都市。そこに生きるある少年は、脳移植によるサイボーグ化の手術を決断したのだが…。

作品講評

やや懐かしみは薫るものの色気があり、画面作りの面は申し分ない。SF、中華、怪談という組み合わせもユニークで惹きがあった。ただ、お話は整理できていない印象が非常に強い。一から十まで全てを語ってしまうと、その冗長さに読み手が付いていけなくなってしまう。「何を描くか」より「何を描かないか」に意識を這わせて、読み手を引き込む構成・力配分を客観視してみてほしい。そこで印象がガラッと変わるはず。次作に期待している。

完成原稿部門:努力賞 賞金1万円

「ギャラクシー ラブ」

「ギャラクシー ラブ」

白沢(20)

あらすじ

10年前に地球に不時着した宇宙人を匿っている少女・雪。しかし、誰にも明かしていなかったその関係を知る謎の男が現れて……。

作品講評

個性的なキャラクターを登場させるにあたり、仕草や描き文字を駆使して生き生きと動かせていた。構図や描き文字による演出で、センスの光る画面構成を作れていたのも魅力。しかし、表現意識のむらっ気が大きく目立ち、こだわっている部分とそうでない部分の差が大きいのが惜しい。画力の向上も最優先で取り組んでほしい課題。いずれにせよ、思い描くイメージに魅力があるのは確かなので、基礎力の向上とともに新人賞の枠から飛び立つことを期待する。

「ノンマジカ」

「ノンマジカ」

三渡まん(29)

あらすじ

興行に失敗した奇術師・フランツは故郷に戻り、少女・ソルに出会う。異常なまでに純粋に魔法を信じているソルを見てフランツは…。

作品講評

セリフで読ませ、一本芯の通った強烈なキャラクター立ち、ここぞという場面の力強い表情に可能性を感じた。一方でキャラの関係性の構築が弱く、オチも尻切れトンボで終わっている印象を受けたのがもったいなかった。また、画面も雑多な印象を受けたので、丁寧に描くこと、適度に描きこみを抜くこと、トーンやベタでメリハリと華を付けること、それらを意識して次の作品に臨んでほしい。

「Mind」

「Mind」

さん.

あらすじ

人の精神の中に入れる看護師・光世(こうせい)は、心を閉ざし目覚めない少女・璃子(りこ)を救うべく奔走し…。

作品講評

さっぱりした画面で丁寧にヒューマンドラマを描くポテンシャルを認められ、今回の受賞に繋がった。一方で、物語設定・ネーム運び共にセオリーに乗りすぎていて既視感を否めない。紋切り型の作品にならないよう、自分なりのやり方を見つけて描くことを次回作に期待する。

「人形と少女」

「人形と少女」

縁倉里美(26)

あらすじ

少女は自分の学校を変だと思っていた。他の生徒が皆、人形のように動かず喋らない。そんな彼女にはお気に入りの人形があって…。

作品講評

前回の応募作と同様、画面作りから来る空気感が非常に良い。太い線の滑らかさ、細い線の繊細さを意識して、もう一段階上の画面作りを目指していってほしい。ストーリーも短くシンプルに纏めることが出来ていたと思う。ただ、この類の話は物語として完成していても余程上手く驚かせたり泣かせたりしないと漫画的に凡庸に見えてしまう。分かりやすさの上により強いアイデアを展開できるよう、話作りの面では自分なりの工夫を積み上げていってほしい。

「あすなろの時間」

「あすなろの時間」

瀬崎ナギサ(24)

あらすじ

文化祭の実行委員を押し付けられた、断れない系女子・柊あすなは、自分の意見をしっかり主張する長谷川時緒にひかれていくが…。

作品講評

気弱な少女と強気な少女の王道百合。話の流れはテンプレ気味だったが、構図・演出で面白く見せようとしていたのは良かった。ただ、それだけだとまだ弱いので更に画力など、読者を引き寄せる力が求められる。ストーリーの流れは、二人が仲良くなる話と、主人公の成長譚を同時に描こうとしているが、キャラクター性とストーリーの足並みが揃っておらず話の軸がどっちつかずになっている。主軸を決めて、それを描くに相応しい人物を用意してもらいたい。

「勇者も魔王も結婚したい!!」

「勇者も魔王も結婚したい!!」

うし若たぬ吉(28)

あらすじ

かつて魔王を倒し、世界を救った伝説の勇者・マサシが、新たな魔王ヴィーダラ(女)に突然のプロポーズを…!?

作品講評

ありがちなギャグネタではあるが、テンポが良く、サクサク読める作りでシンプルに面白かった。しかし、ところどころ説明不足な部分も散見されたので、より分かりやすくなるよう画面作りにもう一工夫を。また前半は良かったが後半微妙にダレるので、短くまとめるか、前半を上回るネタをプラスしてもらいたかった。絵はもう少し上達を望む。ファンタジーものならもっと描き込んで世界観の魅力を高めてほしい。ギャグのセンスには光るものを感じるので、これからも根気よく頑張ってもらいたい。

「環境と適性と違和感と好運」

「環境と適性と違和感と好運」

緒方ナオ

あらすじ

魔界に住む悪魔・無価値は、名前通りにはなるまいと皆から必要とされる生き方をして、満たされているはずだった。しかし、今回引き受けた魔族達からの小さな頼み事により…。

作品講評

見やすい絵柄で丁寧にしっかりと描き込んでいるところに好感が持てた。しかし説明的で文章も多いため、結果的には読みにくい作品となってしまっているのが惜しい。またネタがよくある天使と悪魔ものなので、もう少し新しい要素が必要。全体的に情報量が多く、見せたい箇所が分かりづらくなっているのでメリハリをつけて読み手に伝わりやすい表現を目指してもらいたい。作品から漫画に対する熱意が感じられるので、これからの成長に期待している。

チャレンジ部門:入選 賞金3万円

「LOSER DOGS」

「LOSER DOGS」

こびと兄弟

あらすじ

悪の戦闘員にシンパシーを感じ、悪の組織「ジャクシャー」を立ち上げた千堂院一。うだつの上がらない日々が続いていたが、ある日彼を変える出来事が起こり…。

作品講評

話の構成としてのジャイアントキリングはしっかり成立している。欲を言うと弱者らしい勝ち方、というようなところまで見せてもらえると更に良かった。その点も含めて、現状若干物足りなさを覚えるカタルシスを更に強めていけるかが見てみたい。題材やデザインも現状だと読者をかなり選んでしまうので、読んでもらうまでの動線構築をいかにしていくかも今後の課題になる。

最終選考作品

「可憐なる隷属生活」 (完成原稿部門)

ともあもえ(29)

「少女不変」 (完成原稿部門)

ぴゃあ(28)

総評

奨励賞2作、努力賞7作、チャレンジ部門入選1作。新鋭や実力派が多数見られた、素晴らしい漫画賞だった。

奨励賞の「ものぐさ作家とちいさな同居人」は絵柄・内容ともにまだ底が見えず、先が非常に楽しみ。可能性の段階で立ち止まってしまわないよう、作品を描き続けて確かな実力を養ってほしい。同賞「九龍都市怪談」は絵作りが素晴らしい。ネームへの取り組み方・題材の選び方を工夫して、もう商業としての勝てる勝負を目指していこう。

努力賞・チャレンジ部門入選の各作品は、本来もっと上の賞でもおかしくない実力者が多くいた印象。ポテンシャルの高さを作品の評価に直結できるよう、読まれることを強く意識して新たな作品を執筆してほしい。期待している。

今後も可能性に溢れた、幅広いジャンルの作品の投稿を楽しみにしている。

8月末〆切の発表は2017年9月30日!