漫画賞・持ち込み

2019年9月期

月例マグコミマンガ大賞 結果発表!!

第45回募集、佳作1作品・期待賞1作品・奨励賞2作品・努力賞2作品選出!

今回も多数のご応募ありがとうございました。その中から選出された、栄えある受賞作品は…? (9月30日締切分)

完成原稿部門:佳作 賞金10万円
受賞作掲載

「夢のとまり木」

「夢のとまり木」

古烏恵子

あらすじ

木彫りが趣味の高校生・佐倉は、その地味な気質も相まってクラスにうまく馴染めずにいた。ある日の昼休み、佐倉は体育館裏で美人な先輩・飯塚と出会い、その木彫りの腕を称賛される。それから二人は決まって昼休みに体育館裏で逢うことになり、やがて打ち解け合う。しかし、ある日を境に飯塚は忽然といなくなり――?

作品講評

静かな情感のこもった「間」の作り方が巧みで、繊細な描線がストーリーとよく調和しており、読み心地の良い作品だった。一方で、画面が淡泊になりすぎて全体の印象にメリハリが出にくくなり、物足りなさを感じてしまう。ここぞという場面で強く読み手を惹きつける画づくりができるかどうかで、読後の味わい深さも変わるだろう。

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完成原稿部門:期待賞 賞金5万円
受賞作掲載

「野良犬の閃」

「野良犬の閃」

カミムラリドル

あらすじ

負けず嫌いが過ぎる高校生・勝上威は剣道の授業で気弱そうな眼鏡少年・髙良優太に敗北を喫してしまう。優太に勝つため彼に付きまとう威だったが、試合を控えた彼に誤って怪我をさせてしまい…。

作品講評

キャラのビジュアルはスポーツをテーマにした今作に合っていて良かった。ストーリーも直球なスポーツもので安定した面白さがある。その一方で作家ならではの持ち味が欲しいところで、良く言えば王道だがそれだけでは物足りない。自身の強みについて更に自己分析をしてほしい。キャラの心理描写の繋がりはもう少し補強してほしく、演出の面ではコマ割など見せ方にまだぎこちなさを感じたのでこれからも沢山描いて研鑽を積んでほしい。

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完成原稿部門:奨励賞 賞金3万円

「天葬少女」

「天葬少女」

玉野ちず

あらすじ

天に高くそびえ立つ神々の山が連なる国で、亡くなった者を弔う“天葬”を生業とするソナム。彼の仕事は、死者を解体し天に繋がるとされる鳥達や、天の御使に食べさせるというもの。そんな仕事を13年続け、人として大切なものを失いつつあるソナムの元に、初恋の彼女が訪れる。

作品講評

読者の興味を引きつける題材や、心を打つ物語に目を見張るものがあり受賞に繋がった。しかし、絵の荒さが気になる。人物のデッサン、特に顔が所々安定しない描写があったり、背景の描き込みがいまひとつな所や、線画が安定しない絵もあり勿体無い。また次回からは、セリフの量が多いので、絵で魅せるネーム作りも心がけて欲しい。今後の成長に期待している。

「死神の仕事」

「死神の仕事」

殿(25)

あらすじ

組織のためにあらゆる殺しをやってきた殺し屋・バスコ。死神と渾名され恐れられた彼も遂に失敗、死の淵に立たされる。そんな状況でお迎えにきたのは本物の死神…だが、なぜか見た目がスズメで?

作品講評

広く好まれそうな好感度の高い絵柄、過不足の無い展開やセリフ回しなど、全体的に良く纏まっていた印象。三部に分けた構成もギャグ・コメディとしてのテンポに合っていて読みやすい。求められるのは、全ての面でのスケールアップ。画力もキャラクターも、題材もネタも伸びしろを大きく感じるゆえ、小さく纏まらないように自分のハードルを高い位置に置いて頑張ってもらいたい。

完成原稿部門:努力賞 賞金1万円

「本能には抗えない」

「本能には抗えない」

朝野茶柱(23)

あらすじ

自分の苦しみを他人に押し付けるのは生存本能なのか。言葉を交わす男子学生二人は思い耽る――…本能について。そして、彼らが辿り着いた答えのその先にあるものは――…。

作品講評

丁寧な描き込み、キャッチーな絵柄が好印象。画面作りも良く読みやすい構成。ただ内容があまりにも哲学的トーク中心で回っているので、読者が非常に入りにくい。やりたいこと、狙いは最後まで読めばわかるのだが、最後まで読ませるためのヒキが弱かった。漫画は読者あってのものなので、もう少しお話の作りをエンタメに寄せる必要があるだろう。可能性を感じる絵柄なので、よりたくさんの人に読んでもらえるよう、さらなる工夫を重ね精進してほしい。

「いのりのせいれい」

「いのりのせいれい」

助友悠俐

あらすじ

何でも願いを叶えてくれる、伝説のタマゴ。それを盗んだ孤児 キョウの願いはただひとつ、大金持ちになることだった。しかし、タマゴから孵ったのは魔法もろくに使えない、ドジな精霊で…。

作品講評

前回投稿作と同様、丁寧で安定した筆致が好印象。精霊のコマイが可愛くて微笑ましかった。ただ、話のオチに疑問が残った。読者が読後、どんな気持ちになるかを想像して展開を考え、主人公の願いや、コマイに対する感情の積み重ねをもっと丁寧に描いてもらいたい。また、どうしても作画の古さが目立っている。漫画に限らず、アニメやゲーム、映画など、昨今の話題作を積極的に吸収し、自身の絵のアップデートをしていってほしい。

最終選考作品

「空腹のストーリーテラー」(完成原稿部門)

遊喜じろう

「待ち人来ず」(完成原稿部門)

しげんぬ(27)

「スクランブル・チャンプルー」(完成原稿部門)

雨野燕(25)

「ショタ呪術師は親友をショタコンにしたい!」(完成原稿部門)

LOSA(25)

「砂上の菊」(完成原稿部門)

あくびえのき(24)

「その場かぎりの限界彼女」(完成原稿部門)

こにすけ(19)

「妬まし! 悪魔リヴァサン」(完成原稿部門)

涼月トイロ(22)

「ラブ♂ドラ」(完成原稿部門)

栗原あゆみ(32)

総評

佳作1作品・期待賞1作品・奨励賞2作品・努力賞2作品選出。
自分の武器を存分に活かした作品が出揃った。

佳作の「夢のとまり木」は青春模様を描いたシンプルなストーリーながら、静謐で鮮烈な間の作り方が高評価を得た。コマに何を描くか、どんなリズムで描くか。キャラの表情やセリフだけではない感情の魅せ方が、まさにこの著者の武器だろう。その武器を、画面作り、ドラマ性のある設定作りなどで強化していき、読者を掴んで離さない作品を期待している。
「野良犬の閃」は、キャラの持つ熱さが力強い描線で生き生きと描かれており、期待賞受賞と相成った。一方で、スポーツものという題材選びは絵柄にマッチしているものの、王道の焼き直しを脱しきれないという側面も。題材やキャラ作りに深く切り込む武器を、ぜひ自分の中に見つけて、磨いていって欲しい。

奨励賞の「天葬少女」は著者の伝えたいテーマが強く出ていることに評価につながった。作品講評で指摘されている画力アップに加えて、読み手を惹きつける演出を意識し、次回作は「手に取りたくなる」「読み続けたくなる」作品を目指したい。著者の伝えたいメッセージを届けるためにも読み手に歩み寄ることが必要だ。
同賞の「死神の仕事」は、丁寧に描く部分とシンプルに描く部分の描き分けが良く、題材選びも相まって、今後の活躍を期待できる作品であった。ただ、ネタやキャラ自体が小粒なので、物足りない読後感で終わってしまう。思いついたまま描くだけではなく、計算も交えてネタの精度を突き詰めて欲しい。

努力賞以下の作品は、今持ってる自分の武器が何なのか、そして商業漫画という舞台で通用するのかを改めて向き合ってみよう。どの作品にも言えることだが、武器をさらに強化するにはどうすればよいか、別の武器も磨いていくのか、戦略を持って作品作りに取り組むことが大切だ。

今後も、読者の心に深く刺さる力作をお待ちしております。

10月末〆切の発表は2019年11月30日!